日本勤労協の運動課題

日本勤労協が統一して取組む運動課題

1. 地域に根ざした勤労協活動の展開を目指して

私たちは、第27回山形全国総会において、安心・安全な社会実現のため地域が抱える多くの課題に勤労協活動を通じて、地域住民と向き合い「地方分権の時代」を創り上げていくことを確認し取組んできました。

しかし、現実は東京を中心とする大都市一極集中の流れは止まらず、地方においては人口減少社会が進み、若者は都会へ集中し残された家族は高齢化が一層進み、地方の過疎化は限界集落の拡大となり社会問題となってきています。

安倍政権はこのような状況を踏まえて、地方の活性化対策を講じるため地方創生大臣まで配置してきていますが、その成果は見ることができません。安倍政権が取組むアベノミクス経済政策は失速し、日本の経済成長は低迷、異次元金融緩和政策も安定的物価上昇率や成長戦略も低迷しています。アベノミクスの失策をごまかすため一億総活躍社会の実現などと目先を変えて施策を宣伝していますが、具体的対策については明確となっていません。

更に、私たちの生活圏内においても憲法問題、原発再稼動問題、防災対策、介護保険制度や高齢者問題、子育て支援問題、労働法の規制緩和による非正規雇用者の拡大、低賃金政策による若者の未婚問題など様々な課題が存在しています。

私たちの目指す地方分権は「参加・自治・分権・自然との共生」と位置付け、勤労協運動は地域に根ざした組織であることから、地域が抱える多くの課題に取組むことが可能です。

今、まさに勤労協運動が地域の住民と向き合い、解決に向けて取組むことが求められています。その中で地域からの信頼と共感を得られるよう、大衆性と組織性を身につけ影響力を行使できるよう組織運営していくこととします。勤労協運動が地域のリーダーとなって組織の活動を展開しましょう。

さあ「勤労協運動の出番です」共に頑張りましょう。

2. 組織の活性化を目指し具体的行動を

「2025年問題」が叫ばれています。いわゆる昭和の団塊世代が退職し、75歳以上になっていく時代が2025年頃にピークとなっていくことから、この時代に医療制度や介護保険制度をどう維持していくかが問われています。少子高齢化時代は急速に深度化しその対策が求められています。

私たち勤労協運動も、この時代をどう支える活動家を確保できるかが問われています。今日、職場の実態は少子化や職場環境の変化により将来展望に期待が持てず、労働運動も大きく変化し職場における運動も見えなくなりました。職場における運動から体で覚える活動家の教育訓練はなくなり、活動家と言われる人材が育たなくなっています。春闘状況を見ても「官製春闘」などといわれ、一層労働運動の展開が厳しくなっていると思います。

私たち勤労協運動も、この時代をどう支える活動家を確保できるかが問われています。今日、職場の実態は少子化や職場環境の変化により将来展望に期待が持てず、労働運動も大きく変化し職場における運動も見えなくなりました。職場における運動から体で覚える活動家の教育訓練はなくなり、活動家と言われる人材が育たなくなっています。春闘状況を見ても「官製春闘」などといわれ、一層労働運動の展開が厳しくなっていると思います。

勤労協運動を支えてきたのは、地道な活動家であります。後継者を育てる取組みは容易ではありませんが、今日までの活動を再点検し、後継者の育成を目指さなければなりません。先ずは人の集まる対策や情報発信、人々との交流、地球規模での環境対策から地域のごみ問題、地域福祉サービスや高齢化社会問題など様々な課題を取り上げて運動の突破口としていくことが求められています。そのため次に掲げる課題に取組みを始めましょう

  1. 人が集まる行事を取組もう。楽しい行事を企画しよう。

    勤労協まつり・グラウンドゴルフ大会・バーベキュー大会・納涼会(夏まつり)・忘・新年会など企画し交流を深めよう。

  2. 市民団体・ボランティア団体などとの交流を積極的に行っていこう。

環境団体・脱原発を目指す団体・平和国民運動センターなど、本年は特に憲法施行70周年を迎え、安倍首相は憲法改正に積極的に構えています。南スーダンへの自衛隊派遣PKOに駆け付け警護や共謀罪の提出など憲法改正論議が多く発生することが予想されます。この種の活動を進める団体と共同行動を積極的に展開しましょう。

  1. 介護保険法改正に伴い要支援サービスが市町村に移行されていきます。地域における介護サービスや福祉サービスのあり方など、地域の福祉団体やNPO団体との交流会・研修会の開催を取組みましょう。
  2. まちづくり活動を目指す団体の諸行事に積極的に参加し、NPO団体との交流会・共同行動などを取組み住みよいまちづくりを進めましょう。環境問題や里山整備事業(放任竹林整備)など他団体との共催を検討して取組もう。
  3. 勤労協推薦議員などと連帯して、地域住民のニーズを集約し行政との要望行動・市政懇談会を展開しましょう。
  4. 各地域勤労協連合会内における交流会開催を取組もう。
    各県連やブロック内で積極的に取組んでいる勤労協との交流会や情報交換会を開催し、若い世代を引き込み仲間の拡大を目指そう。
  5. 各単位勤労協でホームページの開設、ブログの活用、勤労協ニュースの発行や情報交換や交流を積極的に行いましょう。

3. 脱原発・憲法改悪反対・共謀罪反対・沖縄辺野古新基地建設反対に向けた運動の展開

2014年第47回衆議院総選挙、2016年第24回参議院選挙結果から自公政権与党は衆議院・参議院とも2/3以上の絶対多数を確保したことから、第192臨時国会ではTPP関連法の強行採決、年金カット法、カジノ法の強行採決を強引に進めました。原発再稼動も相次いで稼動させてきています。

原発再稼動についても福島第1原発の事故原因も明確にせず、汚染水の処理も収束していない状況から、原子炉の廃炉工程も原子炉内の状況も明確となっていません。福島第1原発事故による除染作業経費、避難保障経費、廃炉事業経費などは当初予算から膨大に膨れ上がり21.5兆円余が想定されました。一体この金額を誰が負担するのか、政府は新電力会社や送電事業会社に負担させようとしています。結果的には国民の電力利用者に負担を押し付けるものであり、断じて容認できません。

2016年10月、新潟県知事選挙が施行されました。泉田元新潟県知事は東京電力柏崎刈羽原発の再稼動要請に対して、福島第1原発事故の検証なしには論議しないと拒んできました。新潟知事選挙に出馬する予定でいましたが、原発賛成派の強い横槍から出馬することができませんでした。社民党・共産党・自由党野党は何としても反原発候補を擁立するために奔走し、選挙告示の1週間前に米山候補の選出に成功し知事選挙を闘いました。選挙結果は圧倒的に強いといわれた自公・連合推薦候補を破り米山候補が大差で当選しました。米山知事は元泉田知事の原発政策を引き継ぐことを明確にしています。この知事選からも、原発再稼動に国民の半数以上が反対していることを確信しました。福井県大飯原発3・4号機の裁判では、判決の最後に「極めて多数の人の生存そのものにかかわる権利と、電気代が高い低いという問題を並べて論じるべきでない。大飯原発の運転停止によって貿易赤字が出るとしても、国富の流失と言うべきではなく、豊かな国土に国民が生活していることが国富であり、これを取り戻せなくなることが国富の喪失だと考える」と画期的な判決を下しましたが、大阪高裁はこの判決を破棄し原発再稼動を認める判決となりましたが、原発裁判の判例も変化してきていることも事実です。

憲法改正(悪)に至っても国民の60%以上が反対と回答しています。私たちの主張が国民の多数派であることに自信を持って運動を展開していきましょう。

2015年9月19日、安保法制が強行採決され、自衛隊の集団的自衛権行使容認が可能となり、2016年には南スーダンにおけるPKO部隊に駆け付け警護の任務が命令されました。南スーダンは内戦状況であり極めて問題視されていました。政府は本年3月南スーダンにおけるPKO活動は終了したとし、自衛隊の帰国命令を出し全員が帰国しました。

2016年7月の第24回参議院選挙は、安倍自公政権が2/3以上を確保する結果となりました。この背景には「日本会議」と云われる右翼集団の力があり、憲法改悪に強い圧力団体となっています。本年5月3日、安倍首相は2020年に憲法9条に自衛隊の位置づけを明確にする条文を入れた憲法改正を行いたいと表明しました。更に、今日まで3回も廃案となった「共謀罪」をテロ等準備罪などと名称を変えて提案し、充分な解明もされない中5月23日衆議院で強行可決されました。安倍政権のおごりの政治姿勢に国民の批判が高まってきています。

日本勤労協は、従来から日本国憲法の平和主義を護るため憲法9条を含む憲法改悪に反対してきました。今後、憲法改正問題は極めて重要な局面を迎えていくこととなります。原発再稼動に反対、再生可能エネルギーへの転換を推進し、脱原発社会をめざす運動を取組んでいくこととします。さようなら原発1000万人アクション行動、戦争をさせない1000人委員会、地域における9条を守る組織などと連携を密にして取組んでいくこととします。

東日本大震災に伴う福島第1原発事故からの帰宅復興計画も課題が山積しています。また、熊本大震災の復興計画などの課題で当該勤労協連合会からの要請事項があれば、幹事会において受けとめ協議していきます。
具体的な下記取組みに出来るところから協同・協力の取組みを積み上げていくこととします。

  1. さようなら原発全国行動(さよなら原発1000万人アクション行動)へ参加していきます。
  2. 戦争をさせない1000人委員会や戦争をさせない総がかり行動が進める各種行事へ参加していきます。
  3. 本年は憲法施行70周年を迎え、憲法改正論議が重大な局面を迎えていくこととなります。憲法問題学習会や署名活動に各地域から取組んでいきます。
  4. 高校生平和大使派遣事業への協力をしていきます。
  5. 沖縄辺野古基地移設反対に沖縄県民と共に反対行動、支援をしていきます。
  6. オスプレイ配備・低空飛行訓練に反対します。
  7. 日本の食の安全、農業の再生、医療制度の改悪に反対します。

4. 地方自治体改革と自前推薦議員の確保に向けて

 政府の地方交付税の削減、人口減少社会、高齢化による福祉サービスの増加などにより、地方自治体の財政状況は相当厳しくなっています。本年からは介護保険の要支援①②段階のサービス提供が地方自治体に移行されることとなっています。国民健康保険の運用についても都道府県単位に集約されていこうとしています。いずれも国の財政出動を削減する目的です。

一方安倍自公政権は、軍事費を拡大し福祉関係予算を削減していく方針となっています。更に、地方自治体の現状は「平成の大合併」後10年を見ても、大都市を除いてほとんどの市町村が人口減少と財政危機下にあります。

地方自治は住民福祉、住民サービスの砦です。それだけに地方議会の役割が重要です。首長・行政の「監視・チェック機能」や「政策提言」を行い、市民のための経営を行うよう議会の権能を高めていかなければなりません。住民の意見を吸収し、政策に反映していくには政策能力の高い勤労協自前議員及びすいせん議員の確保が必要不可欠です。

防災面からは、東日本の大震災の教訓から、今後予想される南海トラフ巨大地震、大規模火山や異常気象(巨大台風・高波被害・大雨災害・土砂崩壊など)による大災害がいつ起こるかわかりません。防災対策は身近な地域から自助・共助・公助など協同の取組みが求められています。防災対策や防災意識の取組みから「減災」へと結び付けていくことが必要となっています。こうした防災対策についても、勤労協運動に関係する議員をもつことは大きな運動の支えとなります。自前議員・すいせん議員の確保、擁立を目指し取組んでいくこととします。

17年~18年の具体的組織運営について

1.日本勤労協財政の自立化と組織強化について

  1. 現状の日本勤労協会費による組織運営については経費的に余裕がありません。
    会費の値上げについては極めて困難な状況から、現状を維持していくこととします。2年毎に開催される全国総会開催経費については物資販売事業に伴う収益金によって賄っているのが現状です。自立財政を基本として運営していきますが、各県連に要請する会費については現状の会費を基本としていきます。物資販売事業は、総会開催を支える重要な収益金の確保と位置づけ取組んでいきます。15年度から「喜多方ラーメン」の要請数(1ケース20個入)が変更となったところがありますが、財政事情をご理解のうえ、引き続きの要請数の消化を総会として確認していきたいと思います。
  2. 全国総会は隔年開催を各ブロック持ち回りで開催してきました。
    全国総会は日本勤労協に結集する全国の仲間が、勤労協組織の存在を確認し、全国の優れた活動や教訓を交流しあう場としていくものです。全国総会がこうした意義を理解し組織の成長に期すよう引続き開催していきます。
    2019年第29回全国総会の開催ブロックは四国ブロックで開催することを要請していきます。
  3. 日本勤労協ブロック連絡会は、日本勤労協幹事会の方針を踏まえ各県連との連絡調整や運動の標準化を図り運動の引上げを図っていく正式機関です。
    全国幹事は各ブロック代表で構成されていることから、今後もブロックにおける協議と合意を基本とし、全国幹事会の運営を取組んでいくこととします。
    勤労協県連合が未組織の地域における組織化にも取組んでいきます。
  4. 「日本勤労協ネットワーク」「日本勤労協ホームページ」は日本勤労協幹事会の方針の伝達や要請事項を掲載していきますが、全国各地で取組んでいる単位勤労協の活動内容も掲載しています。全国に活動実績を掲載し、広報していきますので、活動報告を日本勤労協事務局までお寄せください。

2.ブロック連絡会の充実と指導強化について

各ブロック連絡会議は日本勤労協幹事会の連絡調整とブロック内県連の連絡調整・活動、研修活動の標準化です。また、ブロック総会の開催を通じて研修・親睦・交流が図られるよう取組んでいきます。具体的には

  1. ブロック幹事会を定期的に開催し、年間方針を定め活動を進めていきます
  2. 全国総会の翌年はブロック総会、研究集会を開催し学習を深め、各県連との協調と連帯、交流・懇親を図っていきます。
  3. 県連未組織の県に対して粘り強く日本勤労協への加盟を呼びかけていきます。九州ブロックでは全県に組織の確立を目指しています。この取組みの教訓を学んでいきたいと思います。
  4. 各ブロックでも財政確立に向けて検討していくこととします

3.各県連の活動の充実を図ろう

  1. 各県連幹事会の定例開催は活動の基本です。先ず会議を開催し参加して議論することが組織の結集力となります。定例開催に努め活動の具体化と指導体制を強化していきます。
  2. 財政の自立は運動の基本となります。会費の徴収体制、物販などによる自主財源の確保を目指しましょう。日本勤労協が取組む物資販売事業と併せて自前財政の確保に努めていきます。
  3. 各県連の役割は、各単位勤労協に対する指導、研修活動、情報提供、情報交換です。
    ホームページの開設や県連ニュースを発行に努力し、県連の指導体制の確立に努めます。
  4. 県連や各単位勤労協として自治体要求や行政懇談会を開催できるよう取組みます。長野・石川・静岡県連では県政懇談会などを開催しています。勤労協組織として行政に対する要望をまとめ自治体に要請する仕組みを考えていきましょう。