第22回日本勤労協全国総会特集号 2005年3月28日
●はじめに
●2005年〜06年度活動方針(要約版)
1.戦後60年・日本を変える三つの要素
2.全国勤労協が統一して取り組む三本の運動課題
3.全国勤労協組織の強化と拡大
4.本年度の具体的な活動計画
●あとがき
第22回全国総会次第
●第1日目
●第2日目
発行●日本勤労者協議会連合会
Tel&Fax 054-273-5130
E-mail nihon@kinrokyo.net
■はじめに
ネットワーク3月号でお知らせしたように5月には香川県琴平町で第22回全国総会が開催されます。
日本勤労協では総会へかける議案の準備をすすめていますが、総会運営と活動方針について、事前周知の要望がありますので、本年は議案書のほかに、活動方針の要約版を出して事前に討議してもらうことにしました。
紙数や経費の関係で要約版になりましたので、十分とは言えませんがご検討ください。なお、特集号は総会後に内容の報告集として別に発行する予定ですので念のため申し添えます。
2005年〜06年度活動方針(要約版)
■1.戦後60年・日本を変える三つの要素
2005年は、さきの戦争で日本が敗北してから60年になります。この間、私たちは平和憲法のもとで、曲がりなりにも生活をたててきましたが、いま、憲法の基本原則が揺らぎ、三つのファクターによりこの国のかたちが大きく変えられそうです。
その第一は、国会や自民党・財界による改憲の動きが激しくなり、憲法9条を中心に「戦争放棄」を誓い、専守防衛に徹してきた国の安全保障政策を、普通に戦争ができる国のかたちにつくり変えようとしていることです。
第二に、国・地方のの借金が05年度末に774兆円、さらに、政府特殊法人なとの債務を加え約1062兆円という巨大な額に上り、05年度予算は支出の42%を借金に頼るという借金地獄に陥っています。政府は、この借金のツケを国民大衆に押し付け大増税と国民負担の増大、福祉の切り捨てに出ています。これまで維持してきた国民生活のありようは大きく変わってくることをみておかなければなりません。
第三に少子高齢化の急速な進行です。総務省では07年から人口の減少に移り、2100年には5千万人を切るまで減ると推計しています。人口減少は総需要は減り、国内の需要、供給両面で経済の縮小要因になります。このため、09年から日本経済は縮小していくと予測されています。このように、少子高齢化社会の進行は日本の社会に様々な影響を与え、企業や家族、勤労者の働き方等にいたるまで大きく変えていく要因をもち、国のかたちが大きく変わっていくと予測されています。
私たちは、勤労者の住民組織として、こうした社会の変化、時代のすう勢を敏感にとらえ、これに対応する運動を作り上げていくことが重要です。
■2.全国勤労協が統一して取り組む三本の運動課題
住民参加のまちづくり運動へ積極的に参加し、
地域に「市民が担う新しい公共」の概念を確立しよう
平成16年版国民生活白書の副題は「人のつながりが変える暮らしと地域・新しい公共への道」でした。「新しい公共」という言葉は、2年前の長野総会で提起された「市民が担う新しい公共」と同じ意味をもっています。
私たちは、長野総会で官による行政サービスは限界があるとの立場から、個人では解決できない地域のさまざまな課題について、町内会や自治体など既存の組織とは一線を画して「まちづくり」を行っていく方針を決定しました。
その後、中央、地方の動きのなかで行政主導型社会の限界が明らかになっています。各地区勤労協として、地域のこうした動きを注視し、住民の各種運動に参加し、自らも具体的な運動課題を提起して他の住民に呼びかけるなど、まちづくりに対する新しい公共の概念を確立するよう取組みます。
具体的には住民が公共事業の運営に自主的な参画ができる権利の確立や、市民活動と行政の対等な協働関係確立をめざし、行政懇談会を自治体へ要求していく活動を起こすと共に、地域のまちづくり懇談会(各種のまち懇)等のグループヘ積極的に参加していきます。
いま全国で進められている市町村合併への対応を継続すると共に、
合併によって生じた組織問題等に取り組み、勤労協組織を再び見直そう
政府は市町村合併特例法によって合併問題を強力に推進してきましたが、適用期限の06年3月末の段階で1840前後の市町村となる予定です。、99年4月以降43%の市町村が消えたことになります。
日本勤労協は長野総会で住民意志の尊重を中心に地域毎の対応を決めて活動してきました。この取り組みには合併そのものに対するまちづくりの視点からのものと、合併によって生ずる勤労協組織への影響と組織整備という視点の二つがありますので、住民本位のまちづくり形成を推進すると共に、合併によって生ずる勤労協組織の諸問題へ取り組んでいきます。
地域住民の安全と生活環境をまもるため、
護憲、平和、反核等の運動へ積極的に参加していく
自民党は結党50年を迎える05年11月に憲法改定案を出す予定ですが、その内容は国家主義的な色合いが濃いものといわれています。また、国会の衆参両院は「憲法調査会」で5年に及んだ討議が終わり、4月には調査報告が発表されるところへきています。
昨年の調査では、国会議員の84%が改憲に賛成しているとのデータもあり、憲法改定問題は予断を許さない状況になっています。怖いのはこうした動きに同調する論評や与論が、テロ批判や北朝鮮の核開発・拉致問題のかげで逐次同一化され、これに反対する声は世間の異質なものとして排除されかねない状況が見えていることです。
地域社会の基本は平和な生活にあります。勤労協は自らの生活環境を守るためにも、各地域の護憲・平和運動へ積極的に参加していきましょう。
■3.全国勤労協組織の強化と拡大
前各項で勤労者の生活環境をとりまく環境の変化をみてきましたが、その反面、戦後の日本を形づくってきた社会システムが徐々に崩壊し、地方行政も分権化の進行と住民参加型の事業が拡大し、行政経営から地域経営へと発想の転換が求められるところへきています。
住民本位のまちづくりを目標としてきた勤労協にとって、こうした状況はまさに活動展開の好機といえます。しかし、理念や意識ばかりが先行して、組織や活動が停滞している実態がないとはいえません。
この香川総会では、パネルディスカッションを開催し、勤労協の組織整備の問題点や、各種活動の進め方等論点を絞って、全国の各代表に討論をしていただき、参加者の参考にすると共に、長野総会に引き続き 勤労協の組織確立 勤労協とまちづくりという分散会を交流の広場と位置づけ、2日間、全国的な意見交換を進めていきます。
いま、勤労協組織は、市町村合併による地域の統合、リストラ、転勤等による地域労組の衰退、補助金の打ち切りによる独自会計の窮迫等により、危機状態に陥っている単協も少なくありません。ここで、本格的に組織整備に力を集中しないと、じり貧になっていく恐れもあります。各県連、市町村地区勤労協共に、真剣な組織整備への取り組みを要請します。
■4.本年度の具体的な活動計画
97年に採択された京都議定書がこの2月16日に発行しました。これにより日本はCO2などの温室効果ガスを90年比で6%減らす義務づけられました。日本全体のCO2の5分の1が家庭からとされるだけに、会員の生活態度の改善が求められる時代になっています。地区勤労協の課題として取り組んでいきます。
労働者の不当な解雇や賃下げが続く一方、労組の組織率が昨年は18.3%に落ち込み、地域では8割以上の労働者が個人の立場でしか対抗できない未組織労働者になっています。地区勤労協に、「労働相談110番」など相談窓口を設置し、行政や労基署との連携を考えていきます。
各地区勤労協の活動をすすめる上で、欠かかせない課題は勤労協と行政のかけ橋となる地方議員存在の有無です。これまでの活動経過のなかで、自前の推薦議員をもつ勤労協の活動は、際立って強力にかつ効果的にすすめられているように思います。地方議会選挙では党派にかかわらず、地区勤労協と政策協定が締結できる議員候補を推薦し、当選させる活動を通じて自前の議員を生み出していく活動を進めましょう。
勤労者にとって切実な課題を集約して、これまで、中央省庁に持ち込み「行政懇談会」を開催してきましたが、本年度も幹事会で具体化し開催していきます。
市町村地区勤労協の活性化については、参加者相互間の交流分散会のなかで方向を見いだしていきます。日本勤労協からは別途問題提起を行なっていきます。
各県連合会は、県連幹事会を定期的に開催すると共に、県当局と「行政懇談会」等を行い、各地域の課題を行政当局に反映し、その結果を運動に生かしていきます。 また、「県内組織点検月間」などを設定し、市町村地区勤労協及び校区や地域の単位勤労協等の組織人員、活動実態、財政状況などを調査し、実態把握と問題提起を行うなど組織の活性化を計画していきます。
各ブロック会議は、各県、各地区の身近な交流の場として一層の活性化を図ると共 に、物資販売等による自主財政確立を目指します。
日本勤労協は、「にほん勤労協ネットワーク」の発行と共に、昨年開設のホームページを充実して、未組織の勤労者や一般市民向けに勤労協の活動を掲載すると共に、地区勤労協や一般会員によるeメールなどリアルタイム通信網の確立をすすめます。
■あとがき
毎年、国内の自殺者が3万人を超え、WTOの調査で人口10万人当たりの自殺率は世界10位。先進国の中では最も多いという。前回調査では16.3人で23位だったが、今回は24.1人で10位になったといいます。
地域の世相は例年以上に暗いものになっています。かって存在した地域コミュニティーは崩壊し、人々は地域でも、家庭内でも引きこもり的な孤立に追い込まれているようにみえます。
こういうときだからこそ勤労協なのです。仲間の連帯によって地域力をよみがえらせよう。
そして、地域社会へ「市民が担う新たな公共」の概念をうちたてると共に、優勝劣敗の競争優先社会から、「スローライフ」といわれるゆったりした心豊かな生活重視の社会とまちづくりを目指して頑張りましょう。
■第22回全国総会次第
第1日(5月29日)
受付開始 地元実行委員会 13:00
開会あいさつ 高崎日本勤労協副会長 13:30
議長団選出 香川県・青森県
主催者あいさつ 大沼日本勤労協会長
地元歓迎あいさつ 山下香川県勤労協連合会会長が議長団選出時に同時あいさつ 来賓紹介とあいさつ 琴平町、連合香川、労働福祉団体(全労済)
祝電披露
総会日程提案 多名賀総会運営委員長 総会運営委員は各ブロック1名選出 議案・報告提案
活動報告・活動方針等 堀田事務局長 14:15
休憩 14:30
パネルディスカッション 「まちづくりと勤労協」 14:40
パネラー 東北ブロック 福島県連
(各ブロックで選出) 東海・北陸ブロック 静岡県連
関東・甲信越ブロック 長野県連
九州ブロック 福岡県連
コーデネーター 日本勤労協堀田事務局長(書記は東北ブロックが担当)
休憩 16:30
分散会 16:40〜18:30
まちづくり 九州ブロック担当 座長と書記2名を準備
執行部3名 高崎、多名賀、篠原
組織づくり 東海・北陸ブロック担当 座長と書記2名
執行部3名 大沼、堀田、梨本
懇親・交流会 司会者は香川県連 18:45〜20:30
■第22回全国総会次第
第2日(5月30日)
分散会 前日に引き続き2分散会開催 8:30〜10:30
活動・財政方針小委員会小委員会(堀田・多名賀出席)8:30〜10:30
小委員会担当 香川県連 座長と書記2名
休憩 10:30
小委員会報告 香川県連より報告者選出 10:45
全議案・報告採決
役員選出(役員選考委員会・各ブロック1名選出・報告者梨本幹事)
新旧役員あいさつ 11:15
総会アピール 多名賀事務局次長
次期全国総会開催県連あいさつ 東北ブロック開催予定県連(青森又は岩手)
議長団降壇
閉会あいさつ 日本勤労協副会長
団結がんばろう 大沼日本勤労協会長
解散 11:30
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